Webマーケターの残業は多い?実態・理由・残業を減らす働き方を解説

Webマーケターは「残業が多そう」「激務なのでは?」というイメージを持たれがちです。しかし、実際の残業時間は働く環境や担当業務によって大きく異なります。
そこで本記事では、Webマーケターの残業の実態や残業が発生しやすい理由、残業を減らす働き方までを分かりやすく解説します。これからWebマーケターになりたい方は是非とも本記事を参考にしてみてください。

X(旧: Twitter): @webkirin
Webマーケター/SEOコンサルタント
1993年生まれ。青山学院大学経済学部卒業後に外資系ITコンサルティング企業やベンチャー企業を経て、独立。
現在は、デジタルマーケティング会社であるCOUNTER株式会社を経営し、SEOコンサルティングを得意分野とする。
Webマーケターの残業は多い?少ない?

Webマーケターは「パソコン作業中心=残業が少なそう」というイメージを持たれがちですが、実態は会社や役割によって大きく差が出る職種です。ここではまず、平均的な残業時間と、他職種との比較から全体像を整理します。
Webマーケターの平均残業時間
Webマーケターの平均残業時間は、月20〜30時間前後が一つの目安とされています。
定常的な運用業務が中心の企業や、仕組み化が進んでいる組織では、月10〜20時間程度に収まるケースも少なくありません。
一方で、成果責任を強く求められる環境や、少人数体制のベンチャー企業では、改善施策が増えやすく、月40時間以上の残業が発生することもあります。残業の多さは職種というより、任されている裁量と責任の大きさに左右されやすいのが特徴です。
他職種(営業・エンジニア)との残業比較
営業職は、商談や顧客対応の都合で時間が読みにくく、月30〜40時間程度の残業が発生しやすい傾向があります。特に数字達成が近づく月末・期末は残業が増えがちです。
エンジニアは、開発フェーズや障害対応が重なると残業が増える一方、平常時は比較的安定しているケースもあります。
これらと比べると、Webマーケターの残業は中間的な位置づけで、「忙しい時期は忙しいが、常に長時間労働というわけではない」といえるでしょう。
Webマーケターに残業が発生しやすい理由

Webマーケターの残業は、突発的というより構造的に発生しやすい要因があります。理由を理解しておくことで、働き方を選ぶ際の判断材料になります。
成果主義・数値改善による業務増加
Webマーケターは、成果が数字で明確に表れる職種です。
「あと少し改善できそう」「この数字を伸ばしたい」といった判断から、業務を自ら増やしてしまうケースが少なくありません。
特に、広告CPAやCV率などを追っている場合、改善余地が見えるほど手を止めづらくなるため、結果として残業につながることがあります。成果主義であるがゆえの特徴といえるでしょう。
施策のPDCAが終わらない構造
Webマーケティングの業務は、PDCAを回し続けることが前提です。施策を実行 → 数値を確認 → 改善案を考案 → 再実行、という流れに明確な「終わり」がありません。
この「終わりのなさ」が、業務量を自己増殖させやすくします。優先順位を明確にしないと、「まだできることがある状態」が続き、残業につながりやすくなります。
繁忙期(広告・キャンペーン)の影響
Webマーケターの残業は、時期的な波も大きな要因です。大型キャンペーン、セール、広告強化期間、新サービスのリリース前後などは、設定変更や数値確認、レポーティング対応が集中します。
こうした繁忙期には一時的に残業が増えますが、キャンペーン終了後は比較的落ち着くケースも多く、常に忙しいわけではない点は理解しておくべきポイントです。
変化への対応
Webマーケティングの世界は、変化のスピードが非常に速い分野です。検索アルゴリズムのアップデート、広告媒体の仕様変更、競合施策の変化など、想定外の対応が突発的に発生します。
こうした変化は待ってくれないため、業務時間外でも確認や対応が必要になることがあります。特に、少人数体制のチームや個人に裁量が集中している環境では、変化への対応=残業になりやすい傾向があります。
業務内容別|残業が多いWebマーケターの特徴

Webマーケターの残業時間は、個人の能力よりも担当業務の性質によって大きく左右されます。同じ職種でも、業務内容が違えば働き方はまったく変わります。
広告運用・数値分析中心の場合
広告運用を中心とするWebマーケターは、残業が発生しやすい傾向があります。理由は、数値変動が激しく、即時対応が求められるからです。CPA悪化や配信トラブルが起きれば、時間外でも調整が必要になるケースがあります。
特に、少額予算で高い成果を求められる環境では、細かな改善作業が増え、結果的に労働時間が長くなりがちです。一方で、KPI設計が明確な職場では、無駄な対応が減り、残業は抑えやすくなります。
SEO・コンテンツマーケターの場合
SEOやコンテンツマーケティングを担当するWebマーケターは、広告運用に比べると残業は比較的少なめです。施策が中長期視点になるため、突発的な対応が発生しにくい点が理由です。
ただし、記事本数や改善スピードを過度に求められる環境では、制作・修正作業が積み上がり、残業が常態化することもあります。業務量と成果指標のバランスが取れているかが重要です。
インハウスと代理店の違い
残業の多さで大きな差が出るのが、インハウスか代理店かという点です。広告代理店や支援会社では、複数クライアントを同時に担当するため、調整業務や緊急対応が増え、残業が多くなりやすい傾向があります。
一方、インハウスWebマーケターは、自社事業に集中できるため、スケジュールをコントロールしやすく、比較的残業が少ないケースが多く見られます。
Webマーケターの残業が少ないケースとは?

Webマーケターは忙しいというイメージを持たれがちですが、すべての職場で残業が多いわけではありません。実際には、働く環境や業務設計次第で、残業をほとんどせずに成果を出しているケースも多く存在します。
Webマーケターの残業が少ないケース
① 業務範囲が明確な企業
② 内製化・仕組み化が進んでいる環境
③ 裁量労働・フレックス制度の有無
ここでは、残業が少なくなりやすい代表的なパターンを紹介します。
業務範囲が明確な企業
残業が少ないWebマーケターの多くは、業務範囲が明確に定義されている企業で働いています。担当領域やKPIがはっきりしているため、「ついでにこれも」「なんとなく対応」といった業務が発生しにくいのが特徴です。
逆に、役割が曖昧な環境では、マーケティング以外の業務まで引き受けてしまい、結果的に残業が増えがちです。業務の線引きができているかどうかは、残業時間を大きく左右します。
内製化・仕組み化が進んでいる環境
内製化や業務の仕組み化が進んでいる企業では、Webマーケターの残業が少ない傾向があります。ツールやテンプレートを活用し、分析・レポーティング・改善フローが定型化されているため、毎回ゼロから作業する必要がありません。
また、属人化が解消されている環境では、突発的なトラブル対応や深夜作業も減りやすくなります。仕組みで回る組織かどうかは、働きやすさを判断する重要なポイントです。
裁量労働・フレックス制度の有無
裁量労働制やフレックスタイム制を導入している企業では、時間ではなく成果で評価されるため、無駄な残業が発生しにくくなります。自分の集中できる時間帯に業務を進められる点も、大きなメリットです。
ただし、制度があるだけでなく、実際に機能しているかが重要です。制度が形骸化しておらず、成果ベースの評価文化が根付いている企業ほど、Webマーケターは効率的に働ける環境といえるでしょう。
Webマーケターが残業を減らすための具体策

Webマーケターの残業は、「忙しいから仕方ない」では片づけられないケースが多くあります。多くの場合、業務設計・評価軸・働く環境を見直すことで、残業は現実的に減らすことが可能です。
Webマーケターが残業を減らすための具体策
① 優先順位とKPIを明確にする
② 業務の自動化・効率化を進める
③ 転職・副業・フリーランスという選択肢
ここでは、残業を減らすための各具体策について解説します。
優先順位とKPIを明確にする
残業が増えやすいWebマーケターの特徴として、「すべてが重要に見える状態」に陥っている点が挙げられます。SEO、広告、SNS、改善施策など、やるべきことが多いからこそ、KPIと優先順位の明確化が不可欠です。
たとえば、「今月はCV数最大化が最優先」「この施策は検証フェーズなので深追いしない」といった線引きを明確にすることで、不要な作業や過剰な改善を減らせます。成果に直結しない業務を減らすことが、残業削減の第一歩です。
業務の自動化・効率化を進める
Webマーケターは、ツール活用によって作業時間を大幅に短縮できる職種です。レポーティングの自動化、データ取得の効率化、生成AIを使った下書き作成など、手作業を減らせる余地は多くあります。
特に、毎月・毎週発生する定型業務を見直すことで、残業時間は確実に削減できます。「人がやらなくていい仕事」を減らす意識が、長時間労働から抜け出す鍵になります。
転職・副業・フリーランスという選択肢
どれだけ工夫しても、構造的に残業が減らない環境も存在します。評価基準が曖昧、業務範囲が広すぎる、常に人手不足といった職場では、個人の努力だけでは限界があります。
その場合、業務範囲が明確な企業への転職、副業で別の働き方を試す、フリーランスとして裁量を持つなど、環境を変える選択も現実的です。Webマーケターはスキルが可視化しやすいため、働き方を選びやすい職種でもあります。
まとめ
Webマーケターの残業は、職種そのものよりも働く環境や業務設計によって大きく左右されます。広告運用や代理店勤務など、成果とスピードを強く求められる環境では残業が発生しやすい一方、業務範囲が明確で仕組み化が進んでいる企業では、残業を抑えながら働くことも十分可能です。
Webマーケターは成果が可視化しやすく、働き方を選びやすい職種です。自分に合った環境とキャリアを選ぶことで、残業に振り回されない働き方を実現できるでしょう。


