業務委託とフリーランスの違いとは?契約形態・働き方・注意点を解説

業務委託とフリーランスは、似た意味で使われることが多い言葉ですが、実は「立場」や「契約の考え方」に明確な違いがあります。
特に、これから独立を考えている個人や、外部人材を活用したい企業にとって、この違いを正しく理解していないと、契約トラブルや認識のズレにつながる可能性もあります。
そこで本記事では、業務委託とフリーランスの違いを、契約形態・働き方・責任範囲・税務の観点からわかりやすく解説します。
「どちらが自分に合っているのか」「企業側はどう使い分けるべきか」を判断するための参考にしてください。

X(旧: Twitter): @webkirin
Webマーケター/SEOコンサルタント
1993年生まれ。青山学院大学経済学部卒業後に外資系ITコンサルティング企業やベンチャー企業を経て、独立。
現在は、デジタルマーケティング会社であるCOUNTER株式会社を経営し、SEOコンサルティングを得意分野とする。
業務委託とフリーランスの違いを一言でいうと?

業務委託とフリーランスの違いを一言で表すなら、業務委託は「契約形態」、フリーランスは「働き方・立場」という点に集約されます。
この2つは同じ意味として使われがちですが、指している概念がそもそも異なるため、混同すると認識のズレが生じやすくなります。
業務委託とは、企業と個人(または法人)が業務内容・報酬・責任範囲などを定めて結ぶ「契約の形」を指します。請負契約や準委任契約が代表例で、成果物の完成や業務遂行そのものに対して報酬が支払われる点が特徴です。
一方でフリーランスは、特定の企業に雇用されず、個人として仕事を請け負う「働き方や立場」を意味します。フリーランスとして働く人の多くは、業務委託契約を結んで仕事をしていますが、フリーランス=業務委託というわけではありません。
業務委託とは?

業務委託とは、企業が特定の業務を外部の個人や法人に依頼し、雇用関係を結ばずに業務を遂行してもらう契約形態を指します。会社員のように勤務時間や働き方を細かく管理されるのではなく、あらかじめ定めた契約内容に基づいて業務を行う点が特徴です。
報酬は「労働時間」ではなく、「業務そのもの」や「成果」に対して支払われるのが原則で、フリーランスや外部パートナー活用の場面で広く使われています。
業務委託契約の基本(請負契約・準委任契約)
業務委託契約には、主に請負契約と準委任契約の2種類があります。
請負契約は、成果物の完成を目的とする契約です。
システム開発やWebサイト制作、ロゴデザインなど、「完成物」が明確な業務で使われることが多く、成果物を納品して初めて報酬が発生します。
成果が出なければ報酬が支払われない点が特徴で、受託側の責任は比較的重くなります。
一方、準委任契約は、業務の遂行そのものに対して報酬が支払われる契約です。
コンサルティングや運用・保守、継続的なサポート業務などが代表例で、成果物の完成を保証するものではありません。
一定の業務を誠実に遂行する義務はありますが、結果そのものまでは求められない点が請負契約との大きな違いです。
業務委託で求められる責任と成果
業務委託では、契約内容に基づいた責任の履行が強く求められます。
雇用契約とは異なり、企業側には指揮命令権がなく、受託者は独立した立場で業務を行います。そのため、業務の進め方や時間配分は原則として受託者の裁量に委ねられます。
特に請負契約の場合は、契約で定められた成果物を期日までに納品する責任があり、品質や納期に問題があると契約不履行となる可能性もあります。
準委任契約でも、業務を適切に遂行する義務があるため、報告・連絡・相談や業務品質の維持が重要になります。
業務委託が使われる主なケース
業務委託は、専門性が高い業務や一時的・外部化しやすい業務で多く活用されています。
代表的なのがIT分野で、システム開発、アプリ開発、インフラ設計、運用保守などは業務委託との相性が高い領域です。プロジェクト単位で人材を確保できるため、企業側は固定費を抑えやすくなります。
また、Webデザインやグラフィックデザイン、ライティング、動画制作などのクリエイティブ分野でも業務委託は一般的です。成果物が明確なため、請負契約が選ばれるケースが多く見られます。
さらに、SES(システムエンジニアリングサービス)業界でも、準委任契約をベースとした業務委託が広く使われています。ただし、指揮命令関係や業務実態によっては、偽装請負とみなされるリスクもあるため、契約内容と運用の整合性が重要です。
フリーランスとは?

フリーランスとは、特定の企業に雇用されず、個人として仕事を請け負いながら生計を立てる働き方を指します。
働く場所や時間、取引先を自分で選べる自由度の高さが特徴で、近年はIT技術の進展や働き方改革の影響により、フリーランスとして活動する人が増えています。一方で、安定性や保障面は自己責任となるため、自由と責任が表裏一体の働き方ともいえます。
フリーランスの定義と立場
フリーランスは法律で明確に定義された雇用区分ではなく、「雇用されていない個人の働き方」を表す総称的な言葉です。企業と雇用契約を結ばず、業務委託契約や請負契約などを通じて仕事を受注する立場にあります。
そのため、フリーランスは企業の指揮命令下で働く労働者ではなく、あくまで独立した事業者として扱われます。業務の進め方や時間管理は原則として本人の裁量に委ねられ、成果や業務遂行に対して責任を負う点が大きな特徴です。
会社員・個人事業主との違い
会社員は企業と雇用契約を結び、労働時間や業務内容について指揮命令を受ける立場です。給与は毎月安定して支払われ、社会保険や福利厚生も整備されていますが、働き方の自由度は限定されます。
一方、フリーランスは雇用関係がないため、勤務時間や場所、仕事量を自分で調整できます。その反面、収入は案件次第で変動し、社会保険や税金の管理も自分で行う必要があります。
なお、個人事業主は税務上の区分であり、フリーランスとして働く人の多くが個人事業主として開業届を提出しています。つまり、「フリーランス」という働き方の人が、「個人事業主」という立場で税務処理を行っているケースが一般的です。
業務委託とフリーランスの違いを比較
業務委託とフリーランスは混同されやすいですが、それぞれ指している対象が異なります。ここでは、契約・報酬・責任・税務の観点で整理し、違いをわかりやすく比較します。
| 比較項目 | 業務委託 | フリーランス |
|---|---|---|
| 契約の有無・主体 | 企業と個人(または法人)で契約を結ぶことが前提。 契約に基づく「受託者」として業務を行う。 | 特定企業に雇用されない独立した立場。 契約は案件ごとに結ぶ場合もある。 主体は「個人事業主や独立した働き手」。 |
| 報酬の考え方・支払い方法 | 契約内容に基づき、成果物完成(請負契約)や業務遂行(準委任契約)に応じて支払われる。 | 案件ごとに報酬が変動。 契約に依存する場合もあるが、報酬額や支払い時期は自身で管理・交渉する必要がある。 |
| 責任範囲・指揮命令 | 契約で定められた範囲の責任を負う。 指揮命令は原則なく、独立した裁量で業務を進める。 | 独立して業務を遂行する責任を負う。 複数企業との同時契約も可能で自由度が高いが、自己管理が求められる。 |
| 税務・社会保険 | 個人の場合は個人事業主として所得税・消費税の申告が必要。 企業は社会保険料負担なし。 | 個人事業主として税務申告が必要。 社会保険や年金も自己加入・自己管理。 給与からの天引きはなく、自己責任で納付する。 |
契約の有無・主体の違い
契約の有無・主体の違いとしては、次のような観点で異なります。
業務委託:企業と個人(または法人)の間で契約を結ぶことが前提。請負契約や準委任契約など、契約書で業務内容・報酬・期限などを明確に定めます。主体は契約に基づく「受託者」です。
フリーランス:契約の有無は状況によるものの、特定の企業に雇用されない独立した立場。複数の案件を並行して受注することも可能で、主体は「個人事業主や独立した働き手」です。
報酬の考え方と支払い方法
報酬の考え方や支払い方法の違いとしては、次のような観点で異なります。
業務委託:報酬は契約に基づき、業務の成果物や遂行状況に応じて支払われることが基本です。請負契約の場合は成果物完成後に支払い、準委任契約の場合は業務遂行に応じて定期的に支払われます。
フリーランス:報酬は受注する案件ごとに変動します。契約形態に依存する場合もありますが、フリーランスとしての立場では、報酬の額や支払いタイミングも自身で交渉・管理する必要があります。
責任範囲・指揮命令の違い
責任範囲・指揮命令の違いとしては、次のような観点で異なります。
業務委託:契約で定めた範囲の責任を負います。請負契約では成果物の完成責任、準委任契約では業務遂行の適正責任があります。指揮命令は原則なく、独立した裁量で業務を進めます。
フリーランス:企業から指示を受ける立場ではなく、独立して業務を遂行する責任を持ちます。業務委託契約を結んで働くこともありますが、複数の企業と同時に契約することも可能で、自由度が高い分、自己管理が求められます。
税務・社会保険上の違い
税務・社会保険上の違いとしては、次のような観点で異なります。
業務委託:受託者が個人の場合、原則として個人事業主として扱われ、所得税や消費税の申告が必要です。企業は社会保険料の負担はありません。
フリーランス:フリーランスも多くの場合、個人事業主として税務申告を行います。社会保険や年金も自分で加入・管理する必要があります。会社員と違い、給与からの天引きはないため、自己責任での納付が基本です。
どちらを選ぶべき?向いている人・企業の特徴
業務委託とフリーランスは目的や立場が異なるため、個人や企業がどちらを選ぶかは状況やニーズによって変わります。ここでは、それぞれに向いているケースを整理してみましょう。
業務委託が向いているケース
業務委託は、企業が外部の人材や専門家に特定の業務を依頼したい場合に最適です。以下のようなケースで活用されます。
プロジェクト単位で業務を依頼したい場合
– 例:Webサイト制作、システム開発、広告運用など、完成物や一定期間の業務遂行が求められる案件。
社内に専門スキルが不足している場合
– 例:デザインやプログラミング、コンサルティングなど、専門知識を持つ外部人材を活用したい場合。
短期間・スポット的に業務を依頼したい場合
– 例:決算対応、システム保守、イベント運営など、一時的な業務で人員を補いたいケース。
業務委託契約を結ぶことで、企業は固定費を抑えつつ必要な業務だけ外部委託できるメリットがあります。一方で、契約内容や成果物の範囲を明確にしておかないと、責任範囲や納期でトラブルが起きやすい点には注意が必要です。
フリーランスとして働くのが向いている人
フリーランスは、自由度の高い働き方を求める個人に向いています。
特に以下のような人に適しています。
働く時間や場所を自分で決めたい人
– 例:リモートワークや副業をしながら柔軟に働きたい場合。
専門スキルを活かして複数のクライアントと関わりたい人
– 例:プログラミング、デザイン、ライティング、コンサルティングなど、スキルを武器に案件を受注したい場合。
独立して自己成長や収入の上限を自分でコントロールしたい人
会社員の給与に依存せず、実力次第で収入を拡大できる点はフリーランスの大きな魅力です。
フリーランスは自由な働き方ができる反面、案件獲得・税務・社会保険・契約管理なども自分で行う必要があります。そのため、自律的にスケジュールや収入を管理できる人に特に向いています。
業務委託とフリーランスでよくある誤解と注意点
業務委託とフリーランスは混同されやすく、誤解やトラブルにつながるケースも少なくありません。ここでは、よくある誤解と、契約時に注意すべきポイントを整理します。
業務委託=フリーランスではない
よくある誤解の一つが、「業務委託で仕事をしている=フリーランスである」という考え方です。実際には、業務委託は契約形態、フリーランスは働き方や立場を表す言葉であり、両者は別の概念です。
・企業に雇用されず独立して働く個人が、業務委託契約で仕事を受ける場合、フリーランスとして活動していることになります。
・一方、業務委託契約を結ぶのは法人の場合もあるため、必ずしもフリーランスであるとは限りません。
この違いを理解していないと、契約条件や責任範囲の認識がずれ、トラブルに発展する可能性があります。
偽装請負・偽装業務委託のリスク
もう一つ注意すべき点は、偽装請負や偽装業務委託です。これは、形式上は業務委託契約を結んでいるものの、実態は社員と同じように指揮命令を受け、業務を行わせるケースを指します。
・偽装請負は労働基準法違反や社会保険の未加入問題につながり、企業側に罰則や損害賠償リスクが発生します。
・受託者側も、労働者としての権利を行使できないまま責任だけ負う状態になる可能性があります。
業務委託契約を結ぶ際は、実際の働き方が契約内容と一致しているかを必ず確認することが重要です。
契約書で必ず確認すべきポイント

業務委託・フリーランス双方で安全に契約を進めるためには、契約書に以下のポイントを明確に記載することが必須です。
1: 業務内容・範囲
→ どの業務を誰が担当するか、具体的に記載する。
2: 報酬・支払い条件
→ 金額、支払いタイミング、成果物の基準などを明確にする。
3: 契約期間・納期
→ 契約の開始日・終了日、納品期限を設定。
4: 責任範囲・保証
→ 成果物の瑕疵やトラブル発生時の責任を明記する。
5: 契約解除条件
→ どのような場合に契約を解除できるか、手続きも含めて定める。
これらを明確にしておくことで、業務委託・フリーランス双方が安心して契約でき、後のトラブルを防ぐことができます。
まとめ
業務委託とフリーランスは、一見似ているようで指している対象や立場が異なる働き方です。
どちらを選ぶかは、目的やニーズ、求める自由度や責任範囲によって変わります。企業側は必要なスキルや業務範囲に応じて業務委託を活用し、個人側は自分の働き方や生活スタイルに合わせてフリーランスとしての活動を検討すると良いでしょう。
業務委託とフリーランスの違いを正しく理解することで、個人・企業双方にとって納得のいく働き方や契約形態を選択できるようになります。
