フリーランスは甘くない、事業家になるための修行期間〜フリーランスになるまでの経緯やDIGIBITOの創刊理由〜 (COUNTER株式会社 宮田 和也)

フリーランスは甘くない、事業家になるための修行期間〜フリーランスになるまでの経緯やDIGIBITOの創刊理由〜 (COUNTER株式会社 宮田 和也)

フリーランスという働き方は、自由でスマートな選択肢として語られる一方で、その実態や厳しさまで語られる機会は決して多くありません。

DIGIBITOは、そうした理想と現実のギャップに正面から向き合い、「デジタル領域で社会に影響力を持つ人材=デジビト(DIGIBITO)」を1人でも多く増やすことをミッションに、2025年12月に運営開始しました。

今回の企画では、自身もフリーランスとしての経験を持ち、DIGIBITOの責任者である宮田和也氏に対し、DIGIBITO編集部が内部インタビューを実施しました。

フリーランスとして独立するまでの経緯や、事業家を見据えた「修行期間」としてのフリーランスという考え方、そしてDIGIBITO創刊に至った理由や込めた想いについて、編集長自身の言葉で語ってもらいます。

「フリーランスは甘くない…。」

その現実を踏まえたうえで、なぜ挑戦するのか。どんな視座でキャリアと事業を捉えるべきなのか。本記事では、DIGIBITOが目指す世界観とともに、その原点を紐解いていきます。

著者情報
DIGIBITO byCOUNTER 編集部

COUNTER株式会社は、2024年に埼玉県越谷市で創業したデジタルマーケティング支援会社です。「ローカルから最先端を作る」というミッションを掲げ、DX支援やDX人材に関するメディアの運営を手掛けています。DIGIBITOでは、デジタル領域で社会に影響力を持つ人材(=デジビト~DIGIBITO~)を増やすことをミッションとし、デジタルマーケティングやデザイン、プログラミング、動画編集、キャリアに関する情報を独自の取材力と分析力を活かし多数展開しています。

外資系ITコンサルティングファームからベンチャーの世界へ

—— まず、これまでのキャリアについて教えてください。

宮田:新卒ではインド系SIerにエンジニアとして入社しました。いわゆる開発現場で、システムを作る側の経験を最初に積んだ形ですね。その後、第二新卒で欧州系のITコンサルティング会社に転職し、コンサルタントとして要件定義や業務設計など、より上流の工程に携わるようになりました。

——  エンジニア、コンサルタントと経験された中で、次のキャリアを考えたきっかけは何だったのでしょうか。

宮田:IT技術を使って少しでも仕事ができるようになった一方で、「作る」「提案する」だけで終わらず、その先のビジネス成果まで踏み込みたいという気持ちが強くなっていきました。ITをどう使えば事業が伸びるのか、そこまで関われる立場を目指したいと思ったんです。

—— その中で、CINC社への転職を選ばれた理由を教えてください。

宮田:当時は、正直に言うと「ベンチャーに行きたい」という気持ちが先にあったわけではありません。これまでITエンジニアやコンサルタントとして培ってきたスキルを、よりビジネスの上流で活かせる環境を探していました。その中で出会ったのが、Keywordmapを展開していたCINC社でした。

——  なぜ、SEOという領域に魅力を感じたのでしょうか。

宮田:SEOは単なる施策ではなく、マーケティング全体や事業戦略と強く結びついています。技術的な理解も必要ですし、仮説検証やデータ分析といったコンサル的な思考も活かせる。これまでの経験を使いながら、事業の上流に関われる領域だと感じたのが大きかったですね。

—— なるほど。エンジニア、コンサルの経験が自然につながっていったわけですね。

宮田:そうですね。結果としてベンチャーの世界に飛び込む形になりましたが、自分の中では「次にやるべきことを選んだら、そこがベンチャーだった」という感覚に近かったと思います。

ベンチャー企業で事業責任者を経験し独立

—— CINCの次に選ばれたのが、不動産ベンチャーのバンケッツだったと思います。どのような役割を担っていたのでしょうか。

宮田:バンケッツでは、不動産メディア事業の責任者を任せてもらっていました。プロダクト自体はすでに出来上がっていて、さらに成長を加速させるフェーズでして、部分的な担当ではなく、事業全体を見る立場ですね。

—— 具体的には、どのような業務を担当されていたのでしょうか。

宮田:事業計画の策定から実行まで一通り関わっていました。メディアのデジタルマーケティング全体のディレクション、SEOや広告を含めた集客設計、さらに広告枠の開発や営業までやっていましたね。かなり泥臭いですが、事業を回すために必要なことは全部やる、という感じでした。

—— 実際に事業責任者として成果は出せたのでしょうか。

宮田:ありがたいことに、流入改善と売上向上の両方を達成することができました。マーケティング施策だけでなく、収益ポイントの設計や営業の仕組みを見直したことで、数字としても手応えを感じられる経験になりました。

—— その経験は、その後のキャリアにどのような影響を与えましたか。

宮田:このタイミングで初めて、「事業を自分でつくって、伸ばす」という感覚をリアルに持てたと思います。会社員として働きながらも、経営に近い視点で意思決定をする経験ができたことで、「いずれは独立して、自分の事業をやりたい」という気持ちがはっきりしました。

—— そして、独立へとつながっていくわけですね。

宮田:そうですね。バンケッツでの事業責任者経験は、フリーランスとして独立するための土台になりましたし、事業家を目指すうえで欠かせない“実践の場”だったと感じています。

フリーランスからベンチャー企業の幹部へ

—— 事業責任者を経験したあと、いきなり起業ではなく「フリーランス」という選択をされていますよね。

宮田:はい。前職は正社員としては退職しましたが、フリーランスという形で業務委託契約を継続しました。同時に、他の会社とも複数社で業務委託契約を結び、仕事の幅を意図的に広げていった形です。

—— フリーランスとしては、どのような業務をされていたのでしょうか。

宮田:大きく分けると3つですね。SEOコンサルティング、マーケティング全般の支援、そして新規事業開発です。いわゆる「3足の草鞋」で、プレイヤーとしても事業づくりの当事者としても関わっていました。

—— フリーランスになった一番の理由は何だったのでしょうか。

宮田:新規事業を「業務委託」という立場で作る経験値を、短期間で最大化したかったんです。会社に所属していると、どうしても関われる事業や領域は限られますが、フリーランスであれば複数の会社の事業づくりに同時に関われる。実際、この期間にBtoB関連の事業を2つ立ち上げる経験ができました。

—— その中で、ベンチャー企業の幹部として入社する流れも生まれたと。

宮田:そうですね。支援していた会社の一つで、SEO支援事業の立ち上げがうまく伸びてきて、「この事業を中から責任を持ってやってほしい」と声をかけてもらいました。そのまま正社員として入社し、事業責任者兼執行役員として関わることになりました。

—— フリーランスから正社員、しかも幹部ポジションというのは珍しい流れですね。

宮田:フリーランスという働き方でしたが、当初から「外部支援で終わるつもり」はなかったですね。事業が伸びるなら、より深くコミットした方がいいと判断しましたし、結果的に経営に近い立場で意思決定をする貴重な経験ができました。

—— その後、再び独立されていますが、理由を教えてください。

宮田:約1年半ほど関わったあと、「次は自分自身の事業にフルコミットしよう」と決めました。フリーランス、そしてベンチャー幹部としての経験を経て、ようやく独立する準備が整った感覚でしたね。

COUNTER株式会社を創業

COUNTER株式会社のコーポレートサイト

—— その後、いよいよCOUNTER株式会社を創業されます。起業の経緯を教えてください。

宮田:独立後は、これまで培ってきたSEOやマーケティング、新規事業立ち上げの経験を、本格的に自分の意思で展開していきたいと考えるようになりました。そこで、地元である埼玉県越谷市を拠点に、デジタルマーケティング会社としてCOUNTER株式会社を創業しました。

—— 創業当初は、どのような会社を目指していたのでしょうか。

宮田:最初から「何でもやる会社」ではなく、SEOコンサルティングを軸に、事業成長に直結する支援をする会社としてポジションを取りにいきました。その延長で、UIデザインなども含め、マーケティングとプロダクトを一体で考えられる点が評価され、少しずつ認知を広げていった形です。

—— 現在は、新規事業にも力を入れていると伺っています。

宮田:はい。現在はクライアントワークだけでなく、DIGIBITOをはじめとした自社の新規事業立ち上げにも注力しています。自分自身がフリーランスやベンチャー、事業責任者を経験してきたからこそ、次は「デジタル領域で挑戦する人を増やす側」に回りたいと考えるようになりました。

—— COUNTERとして、今後目指している方向性は何でしょうか。

宮田:COUNTERは、単なる受託会社ではなく、事業づくりの知見が循環する場所でありたいと思っています。その一つの形がDIGIBITOですし、これからも新しい挑戦を通じて、デジタルで価値を生み出せる人材と事業を増やしていきたいですね。

フリーランス経験で生きていること

—— フリーランスとしての経験は、現在どのような部分に生きていると感じますか。

宮田:一番大きいのは、「売上は自分で作るもの」という当事者意識が徹底的に身についたことですね。会社員時代は、どうしても売上がどこか自分ごとではない瞬間があると思うんですが、フリーランスになるとそれが一切なくなる。主体性やオーナーシップは、この期間で一気に鍛えられました。

—— 意識の変化は、仕事の進め方にも影響しましたか。

宮田:かなり影響しています。指示を待つのではなく、「この事業にとって何が一番価値が出るか」を常に自分で考えるようになりましたし、意思決定のスピードも自然と速くなりました。今、経営側に立って判断する場面でも、その感覚は強く残っています。

—— BtoBの受託経験という観点では、いかがでしょうか。

宮田:正直に言うと、競争意識はかなり異常なレベルで身についていたと思います(笑)。BtoBの受託は、成果が出なければ次の契約はありませんし、比較対象も常に他社・他のコンサルタントになる。だからこそ、スピード感やアウトプットの質に対する基準は、自然と高くなっていきました。

—— その競争意識は、今も役立っていますか。

宮田:間違いなく役立っていますね。クライアントワークでも自社事業でも、「自分たちが選ばれる理由は何か」「他と比べてどこが強いのか」を常に考える癖がつきました。フリーランス経験は、単なる働き方の選択ではなく、事業家としての基礎体力を作る期間だったと感じています。

フリーランスは稼げると言われているがどう思う?

—— 世間では「フリーランスは稼げる」というイメージも強いですが、その点についてはどう考えていますか。

宮田:実力がある人にとっては、確かに青天井で稼げる世界だと思います。ただ、その分、背負う責任もかなり重いですし、決して簡単な道ではないですね。売上も評価も、すべて自分に返ってくるので、会社員以上にシビアだと感じます。

——「稼げる」という言葉だけが先行している印象もあります。

宮田:そうですね。最近はフリーランスになる人自体は増えていますが、「なぜフリーランスになるのか」という目的をあまり考えないまま独立してしまうケースも多いように思います。稼ぎたい、自由になりたい、という理由自体は悪くないですが、それだけだと壁にぶつかったときに踏ん張れない。

—— これからフリーランスを目指す人に伝えたいことはありますか。

宮田:フリーランスはゴールではなく、あくまで選択肢の一つです。自分が何を実現したいのか、そのために今フリーランスになるのが最適なのかを考えた上で決断することが、結果的に一番“稼げる”状態につながると思います。

売れるフリーランスの特徴は?

—— 「売れるフリーランス」には、どのような共通点があると感じますか。

宮田:まず前提として、特定分野における高度な専門知識やスキルは必須ですね。これはもうスタートラインで、ここがないと継続的に選ばれるのは難しいと思います。

—— スキル以外で、重要な要素はありますか。

宮田:個人的にかなり重要だと思っているのが、「安定感」です。やり抜く姿勢があるか、自己管理が徹底できているか。納期を守る、レスポンスが早い、体調や稼働を自分でコントロールできる、こういった当たり前のことを高いレベルでやり続けられる人は、長く売れ続けます。

—— 「安定感」というのは、意外と見落とされがちかもしれませんね。

宮田:そうですね。フリーランスは自由な働き方に見えますが、実際には会社員以上に自己管理が求められます。どんなにスキルが高くても、継続的にアウトプットが出せなければ信頼は積み上がらない。

尖った才能がある人よりも、「この人に任せておけば安心」と思ってもらえる人ですね。専門性 × やり抜く力 × 安定感。この3つが揃っているフリーランスは、自然と仕事も単価も上がっていくと思います。

DIGIBITO創刊理由や目指すこと

—— 最後に、DIGIBITOを立ち上げた理由と、目指していることについて教えてください。

宮田:一言で言うと、「強い人を増やしたい」という想いが一番大きいですね。環境や会社に依存しなくても価値を出せる人、つまり個として戦える人を増やしたいと思っています。

—— そのために、なぜデジタル領域なのでしょうか。

宮田:デジタルマーケティングなどのデジタルスキルは、課題解決に直結するハードスキルだからです。Webマーケティングのスキルがあれば、集客や売上といった事業の根幹に関われますし、業界や会社が変わっても応用が効く。個人が“強くなる”ための武器として、非常に再現性が高い領域だと思っています。

—— DIGIBITOでは、フリーランスというテーマも多く扱っていますよね。

宮田:はい。ただし、フリーランスを安易におすすめしたいわけではありません。むしろ、「フリーランスは簡単ではない」という現実を、きちんと伝えたいと思っています。

—— それは、なぜでしょうか。

宮田:僕自身がフリーランスを経験して、「自由」と引き換えに、責任や厳しさが確実に存在することを痛感したからです。DIGIBITOは、フリーランスになりたい人に向けた情報も発信していますが、キラキラした部分だけでなく、覚悟や努力が必要だという前提も含めて伝えたい。

—— DIGIBITOを通じて、読者にどんな変化を期待していますか。

宮田:フリーランスになる・ならないに関わらず、「自分は何で価値を出すのか」「どうやって社会に貢献するのか」を考えるきっかけになれば嬉しいですね。DIGIBITOが、デジタル領域で「本当に強い人」が育つ土壌になっていけばと思っています。

宮田 和也 プロフィール(X: @webkirin)

COUNTER株式会社代表取締役、32歳(1993年生まれ)。
青山学院大学経済学部卒業後に外資系ITコンサルティングファーム(日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ、キャップジェミニ)にてエンジニア・ITコンサルタントとして複数のERPシステム導入・運用プロジェクトを経験。その後CINCにてSEOを学び、ニュートラルワークスにて執行役員としてSEOコンサルティング事業部を率い、その後、COUNTER株式会社を創業する。「ローカルから最先端を作る」というミッションを掲げ、DX支援やDX人材に関するメディアの運営を手掛けている。

クレジット
企画: COUNTER株式会社 宮田 和也(@webkirin)
執筆: DIGIBITO byCOUNTER 編集部
撮影: COUNTER株式会社 森 正吾(@wed_sou)

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